09年09月号 指導手帳を書くことが指導力向上の近道

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指導手帳を書くことが指導力向上の近道


 「あのさ、とりあえずメモとらない?」

 大学を卒業して、ピカピカの新入社員として働きはじめたばかりの時に、会社の先輩から言われた言葉です。このアドバイスをもらってから、私はメモ魔になりました。今では、A5サイズ、厚さ2cmくらいの大きな手帳を使っています。

 書いて残すということには、以下のようなメリットがあります。

1.忘れても安心
2.気持ちが整理できる
3.前頭前野が活性化する

 メモとして書いておけば、そのメモさえ見れば思い出せるので、安心して(!?)忘れることができます。また、気持ちがもやもやしている時などにその気持ちを書き出すと、なぜか落ち着きを取り戻せることがあります。これは、書くことによって気持ちが整理されるからです。そして、書くという行為は、脳そのものにも良い影響を与えます。

 脳には、前頭前野という部位があります。前頭前野は、物事を考える、命令を出す、感情をコントロールする、行動を抑える、意志決定する、コミュニケーションを司るという大変重要な機能を持っている部分です。書くと、その前頭前野が活性化します。つまり、書くだけで脳を鍛えることができるというわけです。ちなみに、PCのキーボードを打っていても活性化はしないそうです。

 みなさんに指導手帳を使用してもらっているのも、このようなメリットが背景にあるからです。毎回の指導記録を感情も含めてしっかり文字にして残すことが、必ず指導力向上につながります。

指導進捗報告書(コーチングシート)から

「なぜ、○○ができないんだろう?」ではなく、「どうすれば、○○をできるようになるだろうか?」というSolution Focused Approach(SFA)で生徒のことについて考えてみましょう。SFAで考えてあげた方が、より多くの建設的な解決策が思いつくと思います。

指導の工夫(コーチングシートより抜粋)

問題点:ルーティンをやらない

せんせいの改善策
・ルーティンの大切さをしつこく伝える
・毎日チェックするときに続けられるルーティンを考えてもらう
・ルーティンは数を少なくし、できるところからやらせる
・やる時間帯を決めて、終わったらメールさせる
コメント
「継続は力なり」です。ルーティンを継続することは必ず大きな力を生みます。しかし、毎日続けることは大変困難なことなので、ついついさぼってしまうものです。生徒と相談しながら、量を調整したりすることも大切だし、行なう時間帯を決めることも大切と感じました。あと、先生自身がルーティンに取り組んで、その結果を伝えることも有効です。

問題点:ノートの使い方が下手

せんせいの改善策
・ノート作りの仕方を、自分の高校時代のノートを見せて教える
・まず、字を丁寧に書くことを徹底指導する
・ノートの大切さを教え、とり方を教える
コメント
家庭教師の指導でとても大切なことの1つは、「勉強のやり方を教えること」です。これには、ノートの取り方ももちろん含まれています。作り方をただ指示するだけではうまく教えられないことも多いので、先生自身が使っていたノートを見せることは大変効果的だと感じました。自分で作ったノートがテスト勉強には一番役立ちます。ノートを作ることの大切さを粘り強く指導していってください。

問題点:すぐにあきらめる

せんせいの改善策
・問題を読んでから5分は考えさせる(時間を計る)
・まずは簡単なことを継続させる
・気持ちを切り換えるために「よしッ!」と言わせる
コメント
すぐに諦めてしまうことも、そばで見ている人がいれば、何とか続けられることがあります。諦めない心を育てるには、まず、じっと見守ってあげることが大切です。時間を計り、厳しく見守ることは、大変価値のあることだと思いました。簡単なお手伝いなどどんなことでも継続することができれば、それがこころを強くします。是非、何かを継続させてください。

指導手帳をもっとうまく使いこなす術

手帳には、テストの点数を管理する表があります。そこに指導教科でない教科も含めて、テストの点数を書き込み、勉強の状況を把握するようにしましょう。生徒の現状を的確に捉えておくことが、よい指導者の第一条件です。生徒が見せてくれないからと言って、テストの点数を把握できないようでは、二流の指導者ですよ★

指導手帳ベストプラクティスの紹介

事例紹介:H.N先生の手帳

 今回もたくさんの先生に指導手帳を提出していただきました。いつもありがとうございます。おかげで、今月もせんせい通信を作ることができました。今回は、よく書けている手帳が大変多く、ベストプラクティスを選ぶのには苦慮いたしました。
 今回はN先生の手帳をご紹介します。家庭教師として基本である、「準備」をしっかりしているのが印象的で、先生としての意識の高さを感じられました。

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