11年10月号 集中力がないのではない、集中させる授業ができていないのだ

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集中力がないのではない、集中させる授業ができていないのだ

「この子、集中力がないなぁ」「何度言っても分かってもらえない」・・・。このように家庭教師をしていて、生徒にまつわる悩みはつきません。自分が教えている生徒の全員が、「先生の教え方、わかりにくい」と言ってくれたら、自分の指導力がないとすぐに分かりますが、「A君にはうまく教えられてるのに、B君にはうまく教えられない」というような状態だと、うまく教えられていないという状況を作り出している根本原因は、生徒であると思いがちです。

かく言う私も、上記のように生徒のせいにしてきた経験はたくさんあります。今担当している中学2年生の子についても、「もっと集中して話を聞いてくれ」って何度も思ったことがあります。集中力がない状態の時は、教えている途中で生徒はすぐにイライラしたり、普段はしないミスも連発したりします。このような態度になってしまうと、私も少し感情的になって、「何度言ったら分かるんだ!」って少し大きめの声で言ってしまいます(怒鳴るという印象にならないように笑顔は作っていますし、その後フォローの言葉もかけますが)。



でも最近、改めて気づいたことがあります。自分がしっかり指導準備していった時は、明らかに生徒の集中力が高いということです。先日は、テスト前と言うこともあり、指導準備に2時間費やしました。学校で受けた国語の単元テストのミスの傾向分析や英語のまとめプリントの作成、数学のミスしそうなところをピックアップした問題集作成など。そして、どういう順番で指導をしていくかをシミュレーションしてから指導に臨みました。

この日は、学校の行事があって疲れたと言っていて、見た目も疲れた様子でした。最初は、「寝てるんじゃないか?」って疑ってしまうような状態でした。しかし、準備したとおりに指導を進めていくと、どんどん集中力が上がっていくのが分かりました。「じゃあ、この問題をやって」って指示を出した瞬間にその問題に立ち向かおうとするのです(行動の切り替え早いのは集中力が高い証拠)。そして、真剣に話を聞いてくれるし、質問もいつになく的確、こちらからの質問の回答も的確。これは手応えを感じた瞬間でしたし、集中力がないというのはこの子だけのせいではないと気づいた瞬間でもありました。

集中力がなくなっている生徒への対処法として、休憩をこまめに挟むとか、生徒に発言させたり問題を解かせたりして授業に巻き込むようにするなどのテクニックが存在します。詰まるところ、生徒が集中力をもって先生の話を聞くか聞かないは、先生が如何に準備してきたかに尽きます。毎回、用意周到に準備することは難しいかもしれません。しかし、プリントを用意するなど、きちんと準備したときとそうでないときでは全く生徒の集中力が違うことも事実です。「問題の原因は、他人にではなく、自己にある。」という言葉を改めて気づいた瞬間でした。

集中力を高める指導法

ここでは、明日の授業にすぐ使える生徒の集中力を高める方法・寝かさない方法をお伝えします。

1.伸びや深呼吸をする(アイデア提供:O先生)
席から立って、運動代わりに伸びや深呼吸をすると気分転換になります。また、腹式呼吸でお腹を動かしながら息をはき出すことを10回以上繰り返し、その後、息を止め苦しくなったら10秒から20秒我慢します。酸素の飢餓状態を作り出すことで、集中力が増すそうです。酸素の飢餓状態を作るということがポイントです。実際、私もやってみたところ、効果を実感できました。

2.目標を伝え、時間を区切る(アイデア提供:M先生)
何を目標に取り組んでいるのかを伝えるだけでも、集中力はアップします。さらに、指導時間を区切れるような10分から20分で達成できる細かい目標をたくさん用意してあげるとより集中して授業に取り組んでくれます。

3.ゲーム感覚を取り入れる(アイデア提供:S先生)
勉強にまつわるカードゲームを用意したり、時間を測って先生と競争したりすると楽しい雰囲気になり、生徒は集中して授業を聞いてくれます。この他、サイコロを振って取り組む問題の番号を決めるなど、簡単なひと工夫で授業の雰囲気は一変します。是非、楽しい雰囲気になるような工夫をみなさんも考えてみてください。

4.眠いなら寝てもいいと許可を出す
机でこっくりこっくり・・・。そういうときは、体を揺すったりして起きるようにすることも大切ですが、敢えて「15分寝てもいいよ!」って許可を出すのも有効です。こうやって言われると、多くの生徒は目を覚まします。また、本当に寝たとしても、大丈夫です。15分程度のショートスリープを取ると頭は本当にすっきりして、集中力が回復します。

5.教科をかえる(アイデア提供:A先生)
教科をかえると気分も変わります。苦手教科をやっていて、生徒が飽きてきていると感じたら、得意教科に切り替えるのもよいでしょう。

6.区切りに褒美をあげる
小さな目標を作って達成ごとに、お菓子を食べる許可を出したり、休憩時間を与えたりするとそれを目当てにして頑張ってくれることがあります。ポイントカードを作って、達成ごとにシールをカードに貼っていくのも良いと思います。このようにすると非常に楽しく勉強ができるようになり、集中力も増します。

指導手帳ベストプラクティスの紹介

O先生の手帳

今回もたくさんの先生に指導手帳を提出していただきました。いつもありがとうございます。今回も充実した内容のものばかりでした。一生懸命指導している様子が手帳からも伝わってきて、本当にうれしかったです。ありがとうございます!
今回は、O先生の手帳を紹介します。指導終了時の生徒の姿が大変具体的だったのが印象的でした。終わりをリアルに想像すると、よりよい準備ができるようになります。

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