12年02月号 難しい問題でも解答にたどり着く方法

せんせい通信12年02月号 PDFファイルはこちら

難しい問題でも解答にたどり着く方法

 頭だけを使ってすごいことができる達人がいます。例えば、暗算の達人やプロの将棋や囲碁の棋士。暗算の達人は、15桁くらい並んでいる数の暗算をさらっとやってしまいますし、将棋のプロは、目隠しで100人の相手と同時に将棋を指すことができます。目隠しでも将棋が指せるのですから、100面全ての将棋盤上の駒の配置を覚えることができているということです。これらは、本当に神業です。

 さて、暗算の達人もプロの棋士もはじめからこのような能力が備わっていたかというと、もちろんそんなことはありません。実際のモノを操作することを続けることで、少しずつイメージを心に作ることができるようになり、少しずつこのような能力を身につけていきました。数学が得意な方なら、今はさらっと暗算で分数の計算問題などをやってのけていると思いますが、この能力もまた小さい頃のトレーニングのたまものと思います。つまり、トレーニングなしに、これらの事例にあるような何も書かずにさらっとやってしまう能力は身につかないと言うことです。

 心理学で、知覚や運動がイメージとして心の中で行われるようになることを「内化」といいます。普通の人でも「内化」はもちろん起きています。幼児の頃は、口に出さずに頭の中だけで考えたり、本を黙読したりすることは難しいです。しかし、小学校入学頃から次第に楽にできるようになります。また、内化された活動は、より速くスムーズに行えます。

 一方、心の中で行っている思考活動を、文字、記号、図などの形で外に出すのが「外化」と言います。外化では、記憶に頼る部分が減るので、内容吟味に思考力が使われたり、書き出すことで今まで気づかなかったことに気づくことができるという利点があります。そして、どんな達人であろうとも、その人にとって難しい問題について考える時は、必ず外化という方法を積極的に取り入れています。

 生徒さんの傾向としてよくあるのが、図や大切な要素を書き出そうともせず頭で考えようとすることです。簡単な問題は、それで答えが出てしまいますが、難しくなると全く歯が立たず、すぐに諦めてしまいます。難しい問題は、誰だってじたばたしないと解けません。そのため、先生として大切なことは、どんな図や要素を書き出せば答えにたどり着きやすいかを教えることです。解答を教えることも大切ですが、解答にたどり着くためのプロセスを伝えることはもっと大切です。是非、上記の心理学的背景(内化・外化)も参考にしながら、図を書いたり、大切な要素を書き出したりすることの大切さを伝えてみてください。

今月の教務ブログ・教務ツールHP

1月、2月には5つの指導ブログ記事を新しく作成しました。是非、指導ブログを確認してみて下さい。きっと指導の役に立つ情報に出会えるはず。

記事紹介1.今日からすぐに使える記憶法
 貼り紙記憶法、反復記憶法、音読記憶法の3つをご紹介しました。情報にたくさん触れられるような工夫をすること、反復するタイミングを決めてしまうこと、五感を駆使することを如何に実生活に取り入れるかが最大のポイントです。生徒と一緒に、記憶力が上がる環境構築をしてみましょう。

記事紹介2.オリジナル過去問で効率よく勉強しよう
 やっぱり自作教材は生徒の実力アップに大きく貢献します。その作り方をY先生にレポートしてもらいました。入試対策はもちろん、定期テスト対策にも必ず役立ちます。是非、指導法として取り入れてみてください。

記事紹介3.【英語】中学生の指導に役立つサイト・リンク集
 ネット上に転がっている教科書の本文訳や文法のまとめサイトへのリンクを掲載しました。これ以外にも、指導に役立つサイトはかなりたくさんあります。是非、探してみて、自身の指導力向上につなげていってください。良いものがあれば、是非、教務部にも教えてくださいね!

記事紹介4.小5の「割合」を教える
 Y先生と学習コンサルにうかがった際のヒトコマを記事にしました。実は、小学生が算数を苦手になるきっかけのNo.1に上げられるのがこの「割合」なんです。記事では、「も・く・わの円」というものが登場しますが、こういうツールでまずは割合の計算に慣れてもらい、ゆくゆくは定義までしっかり教えることが理想です。定義に対する理解がしっかりしていないと、結局中学校でつまづくことになります。でも、まずは割合に慣れて欲しい!そんな想いを込めて書いた指導ブログでした。

指導手帳ベストプラクティスの紹介

M先生の手帳

 今回もたくさんの先生に指導手帳を提出していただきました。いつもありがとうございます。今回も充実した内容のものばかりでした。一生懸命指導している様子が手帳からも伝わってきて、本当にうれしかったです。ありがとうございます!
 今回は、M先生の手帳を紹介します。自分自身の振る舞いについて非常に謙虚に反省していることが印象的です。誰だって最初からうまくできる人はいません。常に反省して、ひとつひとつ改善していくことが達人への唯一の道程と感じました。

月別 アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.12

このアーカイブについて

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。