09年10月号 まずは相手のことを受け入れよう

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まずは相手のことを受け入れよう

 指導手帳を見ていると、本気で生徒さんと関わっている様子が見られて本当にうれしくなります。生徒さんが例え嫌がっていることだとしても伝えなければならないことがあります。成績をあげるためには、その子の今までの勉強のルールを変えてもらう必要があります。

 「答えを写すことが自分の勉強のルールだった」

 このルールを小学2年生の時から中学1年の今までずっと続けてきた子がいました。もちろんこの子の先生は、その子に対して本気で関わり、そのルールを変えさせなければなりません。でも、その変える作業を進めるときに、「なんでそんなことやってたの?」「答えを丸写したらダメだって、普通分かるだろ?」って言ってそれまでの行為を責めたらどうなるでしょうか?きっと、その子は先生の話を聞いてくれなくなります。

 このような子に接する時に大切なことは、過去は過去として受け入れるということです。この子の指導に当たっている先生は、「このルールは、毎日学校に行かねばならない彼の生きるための術」だったと理解し、この行為を受け入れました。相手を受け入れ、相手を認め、その上で、どのようにすればその子が変わってくれるかを本気で考えて、自分の想いを伝えてくことで、はじめて子どもは変わり始め、成長します。

 よいところも悪いところも全部ひっくるめて、相手のことを受け入れる。これが本気で関わることの原点であり、そして、コミュニケーションにとって最も大切なことだと思います。


指導進捗報告書(コーチングシート)から

「なぜ、○○ができないんだろう?」ではなく、「どうすれば、○○をできるようになるだろうか?」というSolution Focused Approach(SFA)で生徒のことについて考えてみましょう。SFAで考えてあげた方が、より多くの建設的な解決策が思いつくと思います。

指導の工夫(コーチングシートより抜粋)

問題点:宿題・ルーティンを全てやることができない

せんせいの改善策
・一日一日の宿題をもっと簡単なものにする
・宿題をやることの大切さを根気よく伝える
・宿題の内容について話し合い、一緒に決める
・取り組む時間帯を決めてみる
・勉強以外のこともルーティンとして取り組ませて、コツを掴ませる
コメント
毎回のように「宿題・ルーティンができない」という問題点が出てきて、多くの先生の共通の悩みであることがよく分かります。特効薬のような解決策はないかも知れません。しかし、粘り強く生徒と関わることで必ず状況は好転していきます。生徒ができるようになるまでサポートをしていってください。

問題点:目標・目的が分かっていない

せんせいの改善策
・なぜ高校に行くのかなどについて話し、何か1つでも共感を持ってもらう
・自分自身も生徒の目標を一緒に達成するんだという気持ちをもつ
・目の前のことを努力するように促す
コメント
目標・目的がはっきりしない子はたくさんいます。「○○さんと同じ学校に行きたい」などの多少不純な動機でも、ないよりはマシ。このことについてたくさん話せば、いつか何か1つは必ず見つかります。これからもあきめないで働きかけ続けてください。また、がむしゃらに目の前のことを努力することも目標を見つける方法の1つだと思います。今日という日を一生懸命生きることが目標を生むこともあると思います。

問題点:計算が苦手。ケアレスミスが多い

せんせいの改善策
・小学生の計算ドリルを1日1ページやるというルーティンを取りいれる
・途中式を必ず書かせる
・ミスをその都度指摘して書き出し、どんなところで誤りやすいか自覚させる
コメント
解決法として、ドリルのルーティンを取り入れると書いてくれた先生が3名もいました。計算力は練習量がものを言います。毎日取り組むことで確かな計算力が身につくと思います。また、ミスをその都度指摘するという方法も非常に有効な方法です。その際に、行動だけではなく、「起こしやすいミスリスト」を作らせて、書き込ませるともっと効果が上がりますし、指導もしやすくなります。

指導手帳をもっとうまく使いこなす術

手帳の一番後ろには、生徒の生活・スケジュールを記載できる用紙があります。生徒の成績を上げるためには、生活全般を見直すことが必要なことがあります。そんな時に、力を発揮するのがこの用紙です。生活を見直すだけで成績が上がることはよくある話です。是非指導力アップのために活用してみてください。用紙が少し小さいので、拡大コピーなどをしてから活用してくれる先生もいるようです。

指導手帳ベストプラクティスの紹介

事例紹介:S.N先生の手帳

 今回もたくさんの先生に指導手帳を提出していただきました。いつもありがとうございます。おかげで、今月もせんせい通信を作ることができました。枠の規定に従うことなく、自分の思いの丈をたくさん書いてくれている先生もいました。本当にうれしいことだと思います。
 今回は、N先生の手帳を紹介します。指導中に感じたことをしっかり書いており、読むだけでも、指導の様子がよく分かります。

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